動植物/植物
白神山地を代表する植物は、数えあげればかなりの数に上るでしょう。
もちろんブナも、なかまの一つに数えられますが、ここでは、貴重種とされる植物を、いくつかあげることにします。
【オニシオガマ】

石川県から青森県にかけて分布し、白神山地は分布の北限にあたります。
白神山地では渓流沿いの湿ったところに見られ、花期は8~9月です。
【シラガミクワガタ】

これまで白神山地の一部で記録されてきたミヤマクワガタの一種は、その品種のミチノククワガタだと思われていました。
しかし、葉の鋸葉が規則的であるなど、形質の違いがあることから別物とわかり、山崎敬博士によって新変種として発表されました。
うす青紫の地に濃い青紫の線模様が入った花弁の目も覚めるような色彩は、何とも形容しがたい美しさをたたえています。
現在のところ、確実な産地は白神山地だけで、しかも植物で唯一「白神」の名を冠した本種は、紛れもなく白神山地を代表する植物といえます。
【ツガルミセバヤ】

本種は、昭和14年刊の『青森縣博物總目録』にヒダカミセバヤの名で出ています。
その後、原寛博士は笹内川で得られたものをもとに新種ツガルミセバヤとして発表しました。
白神山地では岩壁や崩壊地に広く分布し、その他津軽半島の矢形、増川岳、青森市野内、それに秋田県の素波里峡、井川町、八森町からも報告されています。
やや広い範囲に生育しますが、本種も白神山地を分布の中心とする準固有種といえます。ツガルミセバヤに近縁な種類は今のところ日本とその周辺からは知られておらず、本種が属するムラサキベンケイソウ属の進化を知る上で極めて貴重です。
繁殖力は旺盛で、花期は8~9月。ムラサキベンケイソウ属では珍しく白色系の花を多数つけます。
【タマガワホトトギス】

渓流沿いの湿ったところに生えています。
高さは100cm前後で、6~7月に黄色い派手な花を咲かせます。
庭に植えられるホトトギスという植物の仲間です。
以前は手を伸ばせばすぐ届くようなところにたくさん生育していましたが、最近ではあまり見られなくなりました。
【センジュガンピ】

7月~8月に直径1.5~2cmくらいの白い花を咲かせるナデシコ科の植物で、オオイタドリやエゾニウなどに混じり、崩れやすい湿った斜面に生えています。
白神山地中心部に発達する大規模な崩壊地の下では、たくさんの個体を確認できます。
【ツガルフジ】

本県の津軽地方で最初に見出され、花序がフジに似ているのでこの名が付きました。
新潟県から北海道の日本海側に見られ、白神山地では河川の谷壁斜面や河原、川岸などに広く見られます。花は紅紫色で、8~9月に開花します。
【エゾハナシノブ】

標高1,200m前後の風の強い草原に生えていることが多く、時には風当たりの強い、シナノキやイタヤカエデを主とした森林の林床(林の地面)にも見られます。
ハナシノブ科に属していて、6~8月にかけて青系統の花を咲かせます。
斜面の崩壊によって河原に落ちていることもあります。
【アオモリマンテマ】

青森県で最初に見つけられたもので、直径2cmくらいの白い花を、6月ころに咲かせるナデシコ科の植物です。
昭和48年(1973年に)、正式に新種として発表されたのですが、以前からその存在は知られていました。
日当たりのよい岩場に生育しています。
最近では白神山地以南の秋田県からも生育が報告されています。
それでも、白神山地が分布の中心であることには、変わりありません。
白神山地では、川に落ちた個体が流れているのを見かけることもあります。
可憐で美しい花なので、最近の山野草ブームのため、自生地では急激に個体数が減少している植物の1つです。
【トウゲブキ】

東北地方、北海道、南千島、樺太に分布するキク科の多年草で、亜高山帯に生育します。花期は7~8月で、白神岳山頂付近で「お花畑」を作っています。
【ヒメアオキ】

ミズキ科の常緑低木。北海道南西部から本州中国山地東部の日本海側の多雪地帯に自生します。アオキの変種で、葉がより細く葉柄や若枝に微毛をもち、雪の重みでも折れないしなやかな体をもつことで、アオキと区別されます。
出典/「ハンドブック 白神山地の自然」青森県立郷土館・発行
「白神山地の自然」青森県・発行
写真・資料協力/青森県立郷土館